家づくりではほぼ確実と言っていいほど理想の家づくりと理想の返済の間に大きなギャップが生まれます。そのギャップを埋めるためにまずは「土地」「家」にかける予算を見直していただいていますが、多くの場合、それだけではこのギャップを完全に埋めることが難しいです。

なのでこのタイミングで「預金」「投資」「保険」の見直しをすることが大切です。

例えば、銀行から3,500万円を金利1.4%で借入する場合、35年ローンだと毎月の返済額は105,458円になります。しかし、同じ金利で40年ローンにすると、返済額が95,270円に減少します。

つまり、返済期間を長くすることで、毎月の負担が1万円軽減され、家計に余裕が生まれます。

そのため、可能な限り返済期間を長くすることを推奨しています。その際に浮いたお金は、長期の積立投資に回すことで、将来的に投資を増やし、安定した生活を築くための基盤をつくることができます。

住宅ローン返済と積立投資を並行するメリット

住宅ローンを借りると利息がかかります。住宅ローンは、多くの場合30~35年と長期間でローンを返済を行うため、その分利息の負担も大きくなってしまいがちです。なので早めに住宅ローンを返済したい気持ちは分かります。

また、住宅ローンの完済が定後になってしまう場合、定年後、再雇用・再就職するといっても給料は現役時代より少なくなることが多いでしょう。年金生活を始めればなおさらです。この場合も、住宅ローンを早く返してしまいたいと思うかと思います。

でも、ちょっと待って!!

積立投資を視野に入れてみてほしい!!ポイントは積立投資のタイミングです。

積立投資のタイミング

①住宅ローンを優先して完済後に資産形成した場合
②住宅ローン返済と資産形成を並行して行う場合

2つのパターンではともに住宅ローンで3,000万円(固定金利・年1.45%)を借入、元利均等返済で返済を行い、積立投資の運用利用回りは4%と仮定しています。

住宅ローンを優先し完済後資産形成した場合

住宅ローンの返済
3,000万円の借入額を35年間で返済する場合、毎月の返済額は約14.4万円になり、総返済額は約5,040万円(14.4万円 × 12ヶ月 × 35年)になります。
積立投資
住宅ローンの完済後、毎月の返済額14.4万円を積立投資に充てます。投資期間は15年間で、年4%の運用利回りを仮定し運用すると、15年後には元金と運用収益の合計で3,812万円得られます。

35年間の住宅ローン返済と15年間の積立投資を並行して行うことで、約3,812万円の資産を築くことができます。

②住宅ローン返済と資産形成を並行して行う場合

住宅ローンの返済
35年間で3,000万円の住宅ローンを返済する場合、毎月の返済額は約9.1万円になり、総返済額は約3,827万円になります。
並行して積立投資
住宅ローンの毎月の返済額よりも、20年で返済する場合の返済額が約5.3万円少ないため、この差額(5.3万円)を積立投資に充てます。毎月5.3万円を積立投資に回し、35年間で年4%の運用利回りが得られると仮定し、35年間にわたる積立投資期間中、毎月5.3万円を投資し、年4%の利回りで運用すると、35年後には元本と運用収益の合計で約4,785万円が得られるます。

住宅ローンの返済と並行して積立投資を行うことで、35年後には約4,785万円の資産を築くことができます。総返済額が増える分を考慮しても、この方法での運用成果は①よりも1,200万円以上多くなります。

※投資にはリスクがあることを考慮しながら、将来の運用状況やリターンを見据えて資産形成を行うことが重要です。

住宅ローンの返済計画と資産形成は一緒に考えよう!

パターン①もパターン②も、毎月必要な金額の合計は14.4万円と同じです。しかし、住宅ローンを早く返済することを優先するよりも、その資金の一部で積立投資をしたほうがより多くの資産形成に繋がる可能性が高いことが分かります。

また、投資する時間が長いほど、複利効果は大きくなります。15年の積立投資よりも、35年の積立投資のほうが複利効果を大きく得られるため、資産を増やす可能性が高いことを示しています。

現状、住宅ローンの金利の水準は低い状態が続いています。その住宅ローンの金利よりも、資産運用でお金を増やせるならば、無理に住宅ローンを短期間で返済せず、資産運用を併用した②の考えがよいでしょう。

もちろん、資産運用に元本保証はありません。運用にはリスクがあり、必ずしも年4%の運用が続けられない可能性がありますが、「15年」という期間よりも「35年」という長い期間の方が元本割れのリスクも低くなります。
値動きと上手く付き合いながら堅実に資産運用していくために、「長期」「積立」に加えて「分散」も徹底しましょう。

※「分散」は、投資タイミングなどを統一せず、複数に分けて投資すること

まとめ

住宅ローンの返済は利息の負担や老後の不安等を考えると早く返済してしまった方がよさそうですが、返済を急がず、積立投資を併用した方が大きな運用成果が得られる可能性があります。つまり長い期間投資することで複利効果が得られやすいです。
長期ローンで積立投資の検討も視野に入れて考えてみてはいかがでしょうか?

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